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6月
梅雨真っ只中で珍しく一日快晴の日、合コンに誘われた青年は、友達の顔を立てるため出席していた。
特別女には興味はない。しかし、誘われていかないのもノリが悪い。端っこのほうで静かにしていればいい。そう考えて青年は、この合コンに参加した。当初の予定通りに居酒屋の隅で静かにウーロン茶を飲み干す。
30分もたつと面白くもない友人のギャグが子守唄に聞こえて仕方がなくなってくる。寝てしまいそうな青年は夜風にあたるために、席を外した。
夜空を眺めていると声をかけられた。
「面白くなさそうだね」
振り向くと可愛らしいワンピースを着た、背の低い少女が立っていた。
夜9時に外を出歩くには不用心に思えた。中学生に知り合いなどいたかと考えてみるが青年は心当たりがない。本人に聞こうかと思っていると少女が
「波渡利君は合コンで相手の顔を覚えないの?」
と言った。
そこで青年、波渡利真次矢は彼女が今日の合コンメンバーだと気が付いた。そういえば友人は姫が来ると言っていたのを思い出し、それが彼女のことだと分かった。確かに容姿は姫と呼ばれても不思議ないほど可愛げ成分が振り掛けられている。
「君が“姫”かい?」
「そうだよ。」
ドヤ顔で返されて、真次矢は苦笑した。
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