出会いの季節は雨が降る

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中に入ると友人は場を盛り上げてはいるものの、どちらかといえばお目当ての彼女を作ることはできていない。4組ほど出来上がっているが、どれにも友人は入っていない。有希以外の女子は一人残ってはいるが、友人の好みではないなと真次矢は思った。 かといって有希に対しても友人は興味は示さない。彼は体のラインがむっちりしている子が好みだった。 「友人、そろそろ引き上げないか?君もむなしいだろう?」 友人、吉良石友人(きらいしともひと)の隣に来ると真次矢は、そうつぶやいた。精一杯の慰めではあったが友人は、ものすごく悲しそうな顔をしてこう呟いた。 「本当のこと言うなよ」 気合が空回りした友人は10分ほど落ち込んでいたが、踏ん切りがついたらしく今日の合コンを終了した。 居酒屋から出るとき、折り畳みの傘を探す真次矢に、有希が声をかけた。 「ねー、波渡利君。」 「なんだい?」 「この子、私の友達のチーちゃんこと、古俵千尋ちゃん。可愛いでしょう?」 そう彼女が真次矢に紹介したのは、合コンであぶれていたもう一人の少女だった。 「そこの今日の幹事君は君の友達?」 「ああ」 「じゃあ、君もあの人も今から私の友達ね。よろしく、これ私の番号」 そう言ってメモを真次矢に渡し、有希は千尋と一緒に帰って行った。
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