青葉、青々、生い茂る

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「僕が神田君にバトンを渡すから」 「で、神田は俺にバトンを渡して。ちなみに俺アンカー」 いかにもスポーツ万能ですって感じのクラスメイトがにっと白い歯を見せる。 肌が濃いからか白い歯が目立つ。 第一走者がスタートラインにつく。 「よーい!…」 パンッ ピストルの音とともに走り出す。それと同時に応援の声が上がる。 バトンを繋いでいき、ついに俺の番に。 バトンを受け取り走り出す。 前を走っていた1人を抜かす。 「神田隊長ー!」「神田様ー!」「かっこいぃ」等、聞こえてきた。 応援ありがとう。 前にいる1人を抜かせそうなところでアンカーにバトンを繋ぐ。 俺らのクラスのアンカーはその1人を抜かしぶっちぎり1位でゴールした。 わー!っと歓声が起き疎らな拍手。 ハイタッチをし肩を組む。 「神田君ぶっつけ本番だったけど良かったよ!」 と、一緒に走った学級委員。 俺が心配していたのが分かってたみたいだな。 よく人を見てるんだなと感心しながら席に戻る。 「神田!」 呼ばれ向けばそこには 「会長…」 何かあったのだろうか? 「リレーお疲れ」 「見ててくれたんですか。ありがとうございます」 「あぁ。かっこ良かったぞ」 「ありがとうございます」 かっこ良かった そう好きな人に言われて嬉しくないわけがないじゃないか。 自然と緩む顔。 照れるのを隠せない。 会長の顔を見ると 「あれ?どうしたんですか?」 赤かった。 「あ、いや、別に…」 「自分で言っといて照れてるんですか?」 ははっと笑うと 「しょ、しょうがないだろ。かっこいいなんて人に言った事がないというか…」 「え?」 嘘?じゃあ期待してもいいの? 俺にもチャンスがあるって。会長が俺のものになる可能性は0じゃないって。
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