楓、赤黄、色付く

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夏も終わり涼しくなってきた。 相変わらず今日も生徒会室で会長と二人仕事してます。 他の役員の方はどこでやってるんだ? そしてなぜ生徒会室に来ない? 「神田」 「はい」 「珈琲頼む」 「はーい」 今日の頼まれた仕事はパソコンに打ち込む事。 その作業を一旦止め、キッチンに向かう。 ついでに自分のも煎れよう。 珈琲の良い匂いが漂う。 二人分煎れ、自分の分に角砂糖1つとミルクを少し入れる。 おぼんに会長の分と自分の分と砂糖とミルクを乗せ持っていく。 「ありがとう」 「砂糖とミルクです」 入れ、用がなくなった2つとおぼんをキッチンに戻し席に着き煎れたての珈琲を飲む。 ふーっと息を吐いてからまた作業するべくパソコンに向かう。 今日は目が疲れそうだ。 夕方、下校時刻になった。 会長と退出し、いつものように「また明日」と別れる。かと思いきや珍しく呼び止められ 「乃亜…と呼んでも良いか?」 「え?」 呼び止められるとも、まさかそんなことを聞かれるとも全く思っていなかったから言葉がすぐには出なくて。 でも答えは 「良いですよ」 当たり前じゃないですか。 にっこり笑って言えば 「そうか。良かった。 じゃあな、乃亜」 安心した様な表情で。 その顔もまた好きで。 会長の笑った顔、困った顔、照れた顔、怒った顔全てが好きだからきゅんとなる。 怒らしたい訳でも怒られたい訳でもないし、困らせたい訳でもないけど。 嗚呼、いつからこんなに好きになってしまったのだろう。 俺は少しは期待して良いですか? するなと言われてもしてしまいそうだ。 「はい、また明日」 そう返し背を向け自分の部屋に帰る。
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