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「ねえ、君?」
もうすぐで進級する季節。あともう少しでここ、聖塔(セイトウ)学園を卒業する先輩に声をかけられた。
「なんでしょうか?」
振り向けば可愛いと言えば可愛いし、かっこいいと言えばかっこいいと言うかっこ可愛い、顔の整った先輩がいた。
ここの親衛隊の総隊長だ。
親衛隊に全く関係のない、この先輩とも全く関係のない主人公にはなぜ声をかけられたのか分からない。
「初対面でいきなり申し訳ないけど僕の跡を次いでくれないか?」
跡を次いでくれ、何の跡をか。そう聞こうと思ったがこの人が言う跡は総隊長と言う座しかないと思い
「お断りします」
考える事なく断った。
これがまだ仲の良い先輩だったら分からないかもしれないが。
断ったのに何も変化のない表情。予想通りだったのだろうか?
「お願いだよ。信じてもらえないかもだが君しかいないんだ。
確かに親衛隊は嫌われているし制裁が起これば仕事が大変になる。めんどくさい事が多いかもしれない」
「なぜ俺に?」
よく考えなくてもあり得ないのだ。
身長は生徒会長を少しだが超している。
容姿だって全く愛らしくも美人でもない。
どう見ようと男だ。
それに生徒会が好きなわけではない。
「君みたいな男前なら親衛隊の子達を纏められる。親衛隊だからと言って小柄な子ばかりではないし。信頼得られると思うよ、すぐに」
先ほどまであった笑顔を消し、今度は真剣に
「君しかいないんだ」
そこまで初対面の人を信用できるのはこれまでの話では分からない。
でもここまで真剣に言われると
「分かりました」
役に立ちたいと思ってしまう。
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