花、彩り、咲き誇る

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自分から聞いてもいないのに自分の事を話す奴らが俺の周りには多かったものだから、こういうやつに対してどう話を繋げたら…もう少し聞いて良いのやら分からない。 でもなんだか気になる。 こいつとの沈黙は居づらいわけではない。 むしろ居心地が良い。 ひしひしとたまに被るが人の感情が伝わって来なくて。 ―♪ 授業終了のチャイムが鳴る。 もうそんなに時間たったのか。 鳴り終わっても立ち上がる素振りを見せない。 「おい。お前、戻らなくて良いのか?」 「良い」 それだけ答え、口を閉ざす。 聞かれた事しか答えないのか、こいつ? それともそれしか言う事がないのか? 「何年だ?」 「1年。 あんたは?」 あんたって! マジでこいつ俺の事知らねえのな。 「2年」 「へー。 じゃあ俺敬語使わないとじゃん」 「いや、別に良いぞ。今さらだし」 「そう」 「お前さ、何でつまらないんだ?」 「何でだろうね。 自分でも分からない」 俺のこいつへの最初の印象は“不思議なやつ”だった。
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