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「乃亜、これ頼む」
「了解しました」
渡された資料を持ち指定の席に着く。
毎回思うが生徒会に来る仕事は重要なものばかりだ。
会長と俺しかいない生徒会室は静かだ。でも緊張など居心地が悪いわけではない。むしろ居心地が良い。
そう言えば最近おかしい。会長がたまに見せる笑顔にドキッとしたり、他の人に笑顔を見せてモヤモヤとかぐるぐる気持ち悪い感じになったり。
恋か?と思ったが人を恋愛対象で好きになった事がないから分からない。
どこかで否定している自分がいる。
もし恋だったとしてどうしたらいい?
伝えてはいけないだろう。俺は親衛隊をまとめる親衛隊総隊長だから。他の子を優先しなければならないだろう。
会長は人気者なんだから。俺のものにはならない。
もう恋をしたということを否定できないな…。
失恋決定じゃないか。
「どうした?」
怪訝な顔をした会長。
どうやら考えることに集中してしまって作業する手が止まっていたようだ。
「いえ。なんでもありません」
素早く笑顔を作り答える。
「そうか」
そう応え、またすぐに作業の方に視線を戻した。
もう考えるのは辞めよう。
作業に集中するんだ。
会長に迷惑にならないように。
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