第一章

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「なぜあんなことを?」 驚き言葉を失っている焔帝の代わりに水帝が尋ねてくる。 なぜ、あんなことを.....か。 出来れば俺もしたくなかった。 「こうする以外他に方法がなかった。ここで俺はお前らに倒された事にする」 「な.....。雷帝、お前は俺らを守るために.....?」 「お前らが帝じゃなくなったら誰が王都を守るんだよ」 「で、でもお前は!」 「俺はお前らと違ってまだ若いからな。なんとでもなるさ」 「・・・っ」 それ以上、誰も俺を止めようとはしなかった。 割り切ったわけじゃない。 これからありもしない罪を課せられ、罵詈雑言を浴びせられる。 そして歴史に史上最悪の敵として名を残し、語り継がれるだろう。 そう思うと正直、震えが止まらない。 そんなこと.....嫌に決まっている。 なぜ王都を救った俺が悪役にならなくてはならないのか.....。 考えれば考えるほど気持ちは暗くなっていく。 「俺たちは知ってるからな」 まるでの心境を知っているかのようなタイミングで焔帝が言った。 その言葉が胸に刺さり、目から雫が零れ落ちる。 「なんだよ、ガキみてぇなとこあんじゃねーか」 「うるせぇ。.....ありがとな」 その言葉を発した時にはもう体の震えは止まっていた。 「じゃあ、後の事は頼んだぜ」 そう言い残して俺は転移した。
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