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やめよう。ここから先を思い出すのは。
そこまで記憶を辿って、ふとそれ以降のことを思い出すのを止めた。
そこから後は地獄のようだった。
そこら中から聞こえてくる俺に対する悪口。
気がおかしくなりそうだった。
「はぁ.....」
こんなに寝覚めが悪いのは久しぶりだな.....。
「さてと、行きますかねっと」
パンッと両手で頬を叩いて気持ちを切り替える。
そして、俺はギルドマスターの所に行くべく家を出た。
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家を出て程なくしてギルド[蒼天龍呀](ソウテンリュウガ)に着く。
ここ、蒼天龍呀が俺が所属しているギルドだ。
ドアを開けると、そこに広がる風景はギルドと言うよりも酒場と言った方がピッタリな内装だった。
朝が早いこともあり、受付嬢以外には数人程度しか居ない。
しかし、これがあと二時間もすればたちまち酔っ払いどもの溜まり場と化してしまう。
まぁ、それが嫌だからこんな朝早くから来てるんだけど。
「あ、ライトくん。おはよう」
「あー、おはようございます。ミーシャさん」
俺に挨拶をしてくれたのはミーシャさん。
彼女は気さくでとても話しやすく、依頼を受ける時はほとんど彼女のところで受けている。
そのせいか彼女とは特に仲がいい。
「今日は何の用?」
「ギルドマスターに呼ばれて.....」
「なるほど。ちょっと待っててね」
ミーシャさんは一度席を離れる。
マスターに確認を取っているのだろう。
「確認が取れたわ。ギルドマスター室に行ってね」
「わかりました。ありがとうございます」
俺は言われた通りに奥のギルドマスターの部屋へ向かう。
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