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コンコン
「どうぞー」
ガチャ
「マスター、失礼します」
「おー、ライト。来たね」
ギルドマスター室は簡素な造りで膨大な書類で埋め尽くされたギルドマスターの机と応接用の椅子と机があるくらいだ。
ギルドマスターの席に座っているのは白髪で短髪の男。
無精髭を生やしメガネをかけた容姿で、顔だけ見れば年相応に運動能力も衰えてきたおじさんだ。
だが、鍛えられ引き締まった体は老いを感じさせず、実力も相当なものだ。
その男の名はリーグス・アストラル。
俺の育ての親でもある。
俺は捨て子で、二歳の時にリーグスに拾われたらしい。
当時のリーグスはSSランクで、依頼で森の中を探索している時に俺を見つけ、連れて帰り、それから育てることにしたそうだ。
それからは生き抜く為にリーグスに必要なものを全て教えられてきた。
体術や魔法、モンスターの知識。
俺が14歳という若さで帝まで登り詰めたのもリーグスの教育あってのことだ。
そして、リーグスから自分は実の親ではない事を知らされた。
勿論、ショックは受けたけどそれでどうこう変わるものでもないし、俺の親はリーグスただ一人だ。
そう思うと意外にもすんなりと受け入れられた。
それからはギスギスすることもなく、良好な家族関係が続いている。
それと同時に、闇属性を持っていることも知らされた。
初めて魔力を調べた時、闇属性と雷属性の二つを持っていたそうだ。
最初は魔族であることを疑ったらしいが、魔族は闇属性しか持たない。
よって、ハーフだとわかったそうだ。
それでも、俺を捨てずに育ててくれたことには本当に感謝している。
それに、俺を捨てた親が魔族だったところでどうでもよかった。
ショックを受けるより、むしろ闇属性を使いこなしてやろうという気持ちになった。
「まぁ、今日はプライベートな部分もあるからいつも通りでいいよ」
「そうか、なら遠慮なく。リーグス! この間書類片付けるの手伝ったばっかじゃねーか!! なんだこの散らかりようは!!」
「はっはっは。面目ない」
ギルドマスターとギルド員という関係ではあるがプライベートはリーグスと呼んでいる。
だらしないリーグスに変わり俺が書類を整理することはいつものことだ。
「チッ。まずは書類からだな」
目前に広がる書類の山にうんざりとしながらも俺は片付けを始めた。
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