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「よし、これであらかた片付いたな」
先程まで山のように積み重ねられていた書類は綺麗に整頓され、数も圧倒的に少なくなった。
「いやー、やっと片付いた。あれだけあった書類が嘘みたいだ。もういっそのことライトがギルドマスターでいいんじゃない?」
「バカ言うな。俺のランクはAだぞ。ギルドマスターになれるのはSSSからだろ」
「えー、本当はXでしょ? “漆黒の迅雷”の方なら問題ないじゃん」
「問題しかねーだろうが!! 俺は捕まるし、ギルドは解体されるだろ!!」
「またまたー。ライトが捕まるなんて有り得ないって」
確かにその通りだけど.....。
リーグスは俺の正体を知る数少ない内の一人だ。
魔王との決戦の後、黒雷属性を使うとして“漆黒の迅雷”という二つ名が俺に付けられた。
その二つ名は裏切り者となった今でも健在だ。
当時は英雄、漆黒の迅雷。
今では大犯罪者、漆黒の迅雷。
二つ名は同じでも意味合いは大きく変わった。
まぁ、この二つ名は気に入ってるから変える気はないが.....。
「もうさー、2年前から書類が増えっぱなしなんだよ? 今の帝は必要最低限しかクエスト受けないし.....。早く倒してくれって苦情に追われて大変だよ.....」
今の帝.......か。
2年前、魔王との決戦が終わった後、帝を辞めたのは俺だけじゃない。
他の四人も全員辞めた。
お前らが守らなきゃ誰が皆を守るんだ。
そう何度も諭したが四人とも頑なに俺の言うことを聞かなかった。
理由は俺をあんな風に扱った他の奴らを守る気など無くしたそうだ。
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