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「ふ~、おいしかった!」
そう言っスフリーがスプーンを置いたのは、さらにもう一皿食べてからだった。
「いやぁ悪かったね。僕は世界中旅してるもんで、ついたまにうっかりお金が無くなっちゃうんだよ~。あはは~」
ノーテンキに笑うスフリーを見て確信する。
こいつ、しょっちゅう行き倒れてやがる。そして心優しい市民からタダ飯を食わせてもらってるんだ。
本当に厄介な人を拾ってしまった。
「別に。人間として当たり前なことしただけです」
どうやって追い払おうか考えながら、ぶっきらぼうに言う。
すると、スフリーはきょろきょろと見回し、さらに話し掛けてくる。
「そういえば、ピート君のお父さんとかお母さんは?まだ一人暮らしは出来ない年齢でしょ?」
この国の法律で、学生は勉強に集中するために一人暮らしは禁じられているのだ。ちなみにボクもちゃんと学校に通っていて、学校から帰って来た時にスフリーを発見したのだ。
「いますよ、ちゃんと。ただ、今は二人とも仕事に行ってるだけです」
答えて、両親のことを思い浮かべる。
お父さんはこの街1番の庭師で、お母さんはとても有名な壁画専門の画家だ。そして二人とも、家の外壁を絵で飾り、庭整えることがステータスであるこの街で、最も人気のある人なのだ。
だから、いつも仕事で家にいることは少なく、ボクも1人でいることには慣れている。しかも最近はお母さんにも料理を褒められるようになり、ボクは毎日夕食を作って待っているのが楽しみでもあった。
しかし、スフリーはボクに憐れむような視線を向ける。
「まだ小さいのに、かわいそうに。さびしいだろう」
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