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「そりゃあ、なんでも。僕は魔法使いだからね。好きな事を言ってごらん」
パチッとウインクをされ、ちょっと引く。
「何でもって、本当ですか?信じらんない」
「本当だよ~。ほら、何でも良いから好きな事言ってよ」
急かされ、ふと頭に両親の事が浮かんだ。
仕事で留守がちな両親。
別に、寂しくは、ない。
でも、できれば、もっと一緒に居たいとは思う。
余程天気が悪くない限り、二人とも仕事だから。
今もきっと、どこかの家の庭や外壁を飾りつけるため、外で仕事をしているだろう。
「じゃあ……アメ、降らせてください」
出来る訳ないだろう、と不敵に笑う。
すると、スフリーはテーブルの上を見て、ああ!と何かを納得したように手を打つ。
「ピート君は好きなんだね!わかったよ。任せて!!」
かなり意味不明な事を言い、スフリーは窓辺へ行く。そして変な言葉をブツブツ呟いたかと思えば、変な動作をし、最後には大声で叫んだ。
「ピート君、おいで」
少し疲れたような顔をして、スフリーはボクを手招きする。そして近付けば、窓の外を指す。
「見て。アメが降ってるだろ?」
胸を張って言うスフリーに、しかし、ボクは殴りかかった。
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