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「馬鹿!!誰がキャンディーを降らせろなんて言った!?」
怒鳴りながらボクは窓の外を指す。
外は、まるで雹のように、ボタボタとキャンディーが降り注いでいた。
「え?だって、ピート君、アメを降らせろって……」
「ボクが言ったのは雨!!キャンディーじゃなくて、あ・め!!」
「……あはは~、そうか~。でも、いいじゃないか~。子どもたちの歓声が聞こえるし。子どもに幸あれ~」
ニコニコと笑って、反省の色が全くないスフリーの首を絞める。
「良くない!頭に当たったりでもしたら、危ないじゃないか!父さんたちが早く帰って来たらいいな~って思っただけなのに、これじゃあ犯罪者になっちゃうよ!!やめろ。今すぐや・め・ろ!!」
首を絞めたままガクガク揺さぶると、スフリーは白目を剥いた。それはさすがにヤバイと思って手を放せば、多少グッタリしながらも普通に答える。
「それはちょっと無理~。でも、どうせすぐやむから」
無責任な言葉に、また首を絞めようとしたが、するりと逃げられた。そしてそのまま、窓枠に足を掛ける。
「じゃあ、お世話になりました~。ピート君に幸あれ~」
ひらり、とスフリーは窓から飛び下りる。
さり気に、我が家の食堂は二階にあるのだ。慌てて窓から見下ろすが、スフリーは何ごともなかったかのように走り去っていった。
「意味、分かんないし……」
ぽつりと呟いたピートの言葉は、虚しく響く。
そしてしばらく呆然としていたら、十分程でキャンディーの雨はやんでいた。確かにボクはキャンディーが好きだから、やんでしまったのは残念でもあった。
だけど、もしこれのせいで怪我人が出ていたらと思うと、ぞっとする。
ひそかに怪我人が出ていないようにと祈り、夕食の準備に取り掛かった。
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