4人が本棚に入れています
本棚に追加
日が完全に暮れ、いつもの時間になると、お父さんとお母さんが帰って来た。二人は大抵、同じ所で仕事をしているのだ。
「ただいま、ピート。良い子にしてたか?」
「ただいま。何か変わったことはなかったかしら?」
頭を撫でられながらそう聞かれ、一瞬スフリーのことが頭によぎる。
しかし、言えるわけがない。あんな変な人。
「ううん、何もなかったよ」
ニッコリと告げれば、お父さんもお母さんも笑って頷く。
「そう、よかったわ。あ、そういえば、今日はピートにお土産があるのよ」
「あぁ、そうだそうだ!きっとピートなら喜ぶぞ」
そう言いながら、二人はカバンから袋を取り出した。結構大きな袋が、パンパンに膨らんでいる。
一体なにが入ってるんだろう。
ドキドキしながら中を覗くと、色とりどりの、大量のキャンディーが入っていた。
「今日の昼、突然どこかから降って来てな。思わずピートのために拾っちゃったよ」
ギョッとして両親を見ると、不思議そうにしながらも嬉しそうに語られた。
「そうなのよ。お父さんったら、張り切りすぎて木に登ってまで集めてたのよ」
「なっ!?それならお前だって、人様の家の屋根に登って拾ってたじゃないか!」
「そうよ、当たり前じゃない。かわいいピートのためなら人様の家の屋根くらい、なんのそのよ!」
張り合う両親に、つい声をあげて笑ってしまう。
「あははははっ!!ありがとう、お父さん、お母さん!」
両親は一瞬きょとんとし、それから二人ともニッコリと笑った。
とんでもなく怪しく、迷惑な人だったが、意外とスフリーの魔法は悪いものじゃなかったかもしれない。
もう二度と会いたくはないが。
最初のコメントを投稿しよう!