本編

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日が完全に暮れ、いつもの時間になると、お父さんとお母さんが帰って来た。二人は大抵、同じ所で仕事をしているのだ。 「ただいま、ピート。良い子にしてたか?」 「ただいま。何か変わったことはなかったかしら?」 頭を撫でられながらそう聞かれ、一瞬スフリーのことが頭によぎる。 しかし、言えるわけがない。あんな変な人。 「ううん、何もなかったよ」 ニッコリと告げれば、お父さんもお母さんも笑って頷く。 「そう、よかったわ。あ、そういえば、今日はピートにお土産があるのよ」 「あぁ、そうだそうだ!きっとピートなら喜ぶぞ」 そう言いながら、二人はカバンから袋を取り出した。結構大きな袋が、パンパンに膨らんでいる。 一体なにが入ってるんだろう。 ドキドキしながら中を覗くと、色とりどりの、大量のキャンディーが入っていた。 「今日の昼、突然どこかから降って来てな。思わずピートのために拾っちゃったよ」 ギョッとして両親を見ると、不思議そうにしながらも嬉しそうに語られた。 「そうなのよ。お父さんったら、張り切りすぎて木に登ってまで集めてたのよ」 「なっ!?それならお前だって、人様の家の屋根に登って拾ってたじゃないか!」 「そうよ、当たり前じゃない。かわいいピートのためなら人様の家の屋根くらい、なんのそのよ!」 張り合う両親に、つい声をあげて笑ってしまう。 「あははははっ!!ありがとう、お父さん、お母さん!」 両親は一瞬きょとんとし、それから二人ともニッコリと笑った。 とんでもなく怪しく、迷惑な人だったが、意外とスフリーの魔法は悪いものじゃなかったかもしれない。 もう二度と会いたくはないが。
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