【右腕の男】

10/33
前へ
/238ページ
次へ
今度はちゃんと蘭花の話も聞いてやって、今まで通りしっかり蘭花の前でしないと蘭花を不安にさせちまうから。 あんな俺の姿を見て蘭花は不安になったんだ。 二度と情けない姿を見せない様にしないと。 蘭花の為なら俺は何だって出来る。 気持ちを切り替え、次の日も仕事に励んだ。 水曜日。 仕事も終わり、いつもの様に過ごしていた。 ソファーに座り蘭花のポスターを見る。 「…蘭花。会いてぇ。早く金曜日にならねぇかな。」 なんて考えて居るときだった。 ドンドンとドアを叩く音とチャイムを何度も鳴らす音に眉を潜めた。 ……誰だよ。こんな時間に。 そう思いドアを開けた。 「……蘭花。」 そこには、会いたくて仕方なかった蘭花の姿。 俺を見た途端にしゃがみ込んだ。 よく見ると蘭花は凄く薄着で……。 思わず両肩を掴んだ。 「!蘭花!何やってんだ!熱があるのにこんな格好で!早く中に入れ!」 まだ身体が熱い。 中に早く入れないと。 そう思い蘭花を立たせた。 !!裸足! 「!お前!裸足!何やってんだよ!」 驚き過ぎて大きな声を出した。 それなのに蘭花は 『…良かった……ちゃんと…仕事…してる?…ちゃんと…食べてる?…大丈夫?』 うっすら微笑んで震える声で俺に言ったんだ。 「…蘭花…もう…勘弁してくれよ。…何なんだよ…お前の…そんな姿…。…俺…どうすればいいんだよ…。」 あぁ。こう言う事か。 蘭花が言った自分のせいで潰れていく姿を見るのが怖いって言うのは…。 こう言う事なんだ……。 頭を抱え込み座り込む。 『……ごめん…帰るね…竜兄が…生きてたら…それで…いい…。』
/238ページ

最初のコメントを投稿しよう!

515人が本棚に入れています
本棚に追加