【右腕の男】

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あれから何日経っただろう。 蘭花と居るときは週末が楽しみで仕方なかった。 蘭花に別れを告げてから曜日感覚も無い。 ただ仕事に行き家に帰るだけの毎日。 自分で別れを告げといて、今更ながら後悔してる。 だけど、期限も無く離れるのは俺も辛いが蘭花はもっと辛い様な気がする。 前にそうやって待たせたから。 会いたくても会えなかったあの辛い思いをさせたく無かった。 それなら、いっそのこと俺の事忘れてくれた方が蘭花の為なんじゃないかと。 あいつは、いい女だから。 俺なんかより相応し男と一緒になった方が幸せになるんだ。 こんな情けない男。 もっと、蘭花の事考えてやれば良かった。 いつも優しくしてやれば良かった。 ずっと辛い思いをしてきたのに。 やっと人を信じて乗り越えてきたのに。 俺は名乗らない方がよかったのかもしれない。 俺の事、忘れたままで右腕と総取締役としての関係でいたら良かったんだ。 ……俺が欲を出したから。 俺だけの蘭花で居て欲しかったから。 やっぱり全部俺が悪いよな。 ……だけど、無理だな。 今更、蘭花を忘れるとか絶対に出来る訳無い。 ……何してるかな。蘭花。 あいつは強いから、ちゃんと学校行って生徒会長してるんだろうな。 毎日、考えるのは蘭花の事で。 出てくるのはため息だけだ。 ……声聞きてぇな。
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