【右腕の男】

18/33
前へ
/238ページ
次へ
家に帰ればやっぱり同じ事の繰り返しで。 ビールをみながら見つめる先には、すげぇ綺麗な蘭花の姿。 「…綺麗過ぎるだろ。」 何度見てもずっと見ていても飽きる事は無い。絶対に。 俺って、すげぇ幸せ者だったんだな。 こんな綺麗な奴を独り占めしていたんだ。 俺の蘭花だ。って胸を張って言えてたんだから。 今更ながら実感する。 蘭花の存在の凄さを。 俺、自分で手放しちまった…。 自己嫌悪でいっぱいだ。 ビールをグッと飲み干す。 ……ビール好きだったよな。蘭花。 一緒に飲みてぇな。 呑みたそうにする蘭花の顔。 すげぇ可愛いんだよな。 だから、つい許しちまう。 そしたら、もの凄い笑顔でありがと。っていつも言って。 あの笑顔も大好きだったな。 ……もう見れねぇな。蘭花の笑顔も。 きっと俺には見せてくれないだろうな。 蘭花のポスターを眺めながら呑む。 最近、あんまり寝れてなかったせいかソファーにそのまま寝てしまった。 プルルルル。 プルルルル。 部屋に鳴り響く電話の音で目が覚めた。 ……いつの間にか寝てたんだな。 …誰だ? スマホを手に画面を見ると… 着信 【蘭花 】 の文字。 慌てて出た。 「……蘭花か?」 少し半信半疑で声をかける。 蘭花から電話が来るなんて信じられなかったから。
/238ページ

最初のコメントを投稿しよう!

515人が本棚に入れています
本棚に追加