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詩音さんと俺の間に蘭花は居て、二人の手を握り交互にブンブン振って歩くのが蘭花の癖で。
詩音さんに痛いと言われれば、俺と握った手の方だけをブンブン振ってた。
保育園に着けば門の所で俺の足にピタッとくっついて離れなくなる。
『もう。また。蘭花。竜は今から学校なのよ。離れなさい。』
そう言われると、俺の足に更にギュッとくっつく蘭花。
蘭花の頭をくしゃりと撫でて抱き上げて笑いかけると、今度は首に両手を回しくっつく。
「蘭花。蘭花が保育園頑張ったら帰りも迎えに来るからな。だから頑張れ。」
そう言うと俺を見てニカッと笑う。
『うん!がんばるぅ~。おむかえきてね。たちゅにぃ。』
そしてやっと離れて、手を振りながら保育園に走って行く。
蘭花が保育園に通っている間、毎日の事だった。
可愛くて可愛くて本当に仕方なかった。
勿論、迎えも約束通り行っていた。
学校が終われば一旦家に帰り、ランドセルを投げて直ぐに翔の家に行く。
詩音さんは忙しくて夕方にならないと迎えには行けなかった。
だから翔達と少し遊んでから翔達を誘って保育園に様子を見に行った。
翔も何だかんだ言いながら蘭花を可愛がっていたから、保育園での蘭花の様子を気にしてた。
蘭花が4、5歳になると、たまに髪の色をからかう奴が居るって事を知っていたから。
俺達が保育園を覗く事で、蘭花には強いお兄ちゃん達が付いてると思わせるためだ。
だから翔も保育園を覗きに行こうと俺が言っても嫌だと言った事はなかった。
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