【右腕の男】

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朝になり親父達と朝飯。 母さんが蘭花にお土産を買ったのか?と聞くと、あっ!と言った顔をする蘭花。 あー。俺もそこまで考えてなかったな。 ずっと遊んでたかジムに行ってたから、土産なんて頭に無かった。 母さんに言われ、帰る前に土産を買いに出掛けようということになった。 珍しく親父も行くと言うから仕事は?と聞くと、今日は俺らを見送る為に休みを取ったらしい。 俺らと言うより蘭花の為だろうな。 本当に蘭花を可愛がってるらしい親父と母さん。 蘭花を前にするとずっと嬉しそうな笑顔を見せている。 連れてきて良かったと思える。 仕事バカのこの二人が、仕事より蘭花を優先させてくれた事も感謝している。 俺は昔から親不孝ばっかりだったから、迷惑しかかけて来なかった。 蘭花と婚約出来たことで、この二人が幸せになってくれると少しは親孝行をしたんじゃないかと思う。 買い物の時も楽しそうで。 蘭花と一緒に土産を選ぶ母さんは特に。 その光景を見ながら親父が言った。 「母さん。嬉しそうだな。お前が選んだのが蘭花ちゃんで良かったよ。母さんが言ってたぞ。竜のお嫁さんとエステ行ったりお茶したり一緒に買い物したり料理をするのが夢だったって。だから、夢が叶ったって。凄く嬉しそうで幸せそうだった。俺も久しぶりにあんな笑顔の母さんを見た気がするよ。ありがとな。竜。」 そう言って俺に視線を向けた。 『俺は何もしてねぇよ。何もしてやれなかった。蘭花が幸せな笑顔を与えてくれるんだ。あいつはそういう奴だから。』 視線の先にある蘭花と母さんの笑顔が印象的だった。 買い物も済ませホテルで昼食。 蘭花の素直な表情や言葉に終始ニコニコしてる二人。 蘭花が、竜兄の両親が煌パパと耀子ママで良かったと微笑むと抱き付く二人に呆れる。 おっ?!という表情の蘭花は可愛いけど。 この二人も蘭花の虜になったみたいだ。 まぁ。いいけど。 空港に向かい飛行機に乗り込む。 親父達と別れを言って飛び立った。 蘭花は凄く楽しかったと満足そうな顔。 こいつが楽しんでくれたから良かった。 飛行機の中、スヤスヤと眠る蘭花の顔を見て頬が緩む。 綺麗な寝顔。 色っぽい綺麗な顔して性格は可愛い天然とか。 そのギャップに完全にやられてる自分。 こいつには一生敵わねぇななんて苦笑いしながら俺も目を閉じた。
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