【右腕の男】

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「蘭花~!後で迎えに来るからなぁ。虐める奴がいたら俺達に言えよ~!」 わざと大きな声で叫んでたな。 蘭花をからかう奴が居ない様に。 蘭花が嫌な思いをしない様に。 夕方になると詩音さんが保育園に来る。 それまで近くで遊んでいて、詩音さんを見かけると走って行って詩音さんと迎えに行くんだ。 『たちゅにぃ~!』 迎えに行けば俺の所に来る。 そして、朝の様に手を繋いで手をブンブン振りながら一緒に帰る。 これが俺の日常だった。 休みの日も朝から翔の家に行き、寝ている翔はほっといて蘭花と遊んでた。 『竜が居てくれて助かる。保育園が休みの日は、蘭花に手がかかって大変なのよね。竜。いつもありがとうね。』 詩音さんが毎回言う。 俺が蘭花と居たいから来るだけなんだけど。なんて思ってたな。 昼からは翔も蓮兜に起こされ、たまに瑠璃さんも遊びに来て5人で庭で遊んだ。 翔の家の庭はすげぇ広くて蘭花を遊ばせるには充分な広さだった。 庭でギャーギャー言って遊んでも、組長も詩音さんも笑顔で見守ってくれていた。 煩いはずなのにそんな事一言も言われた事はなかった。 おやつの時間になれば、縁側で詩音さんに皆呼ばれて並んでおやつを食べた。 俺の横にはいつも蘭花が座ってて。 必死に食べる蘭花の頭をよく撫でて見てた。 「蘭花。ゆっくり食べろよ。待ってるから。大丈夫だぞ。」 小さい蘭花は当たり前だが俺達より食べるのが遅い。 置いて行かれると思うのか慌てて食べるんだよな。
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