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この6人を指導者にする。と言った蘭花の行動は間違ってねぇかもな。
戸惑いながらもそれぞれの専門格闘技を基礎から取締役達に教えている男達を見て思う。
一時間の試し指導が終わり、來希の声に取締役達が飲み会の準備を始めた。
6人の所に行き声をかける。
「お前らが蘭花を裏切らない限り、こいつらもお前らを認める。俺もそうだ。蘭花が認めてお前らを指導者にすると言ったんだ。それを信じるだけだ。蘭花にとって裏切りと言う行為は絶対にしちゃいけねぇ行為だ。お前らも覚悟決めて半端すんなよ。今から飲み会だ。遠慮しねぇでこいつらと呑め。大和の事も心配すんな。蘭花がしっかり考えてるから。」
俺の言葉を真剣に聞いている6人。
まぁ。大丈夫だろ。
來希に2階に居る。と言って、階段を登った。
2階の部屋に入ればソファーに凭れる。
……何処に行ったんだか。
別れた時を思い出す。
あの時とは違うと分かっていても、蘭花が何をしているのか。
何を思ってるのかが分からない今、あの頃と似た感覚に自嘲する。
……情けねぇ。
蘭花を待つ一分一秒が長く感じる。
俺、マジで蘭花居ねぇと生きてけねぇかも。
そんな事を考えていたら、扉をノックする音に眉を寄せる。
『…輝条さん。ちょっといいですか?』
誰だ?
あぁ。新人君か。
ソファーから立ち上がり扉を開けた。
「…どうした?」
『あっ。いや。あの…。何かすいません。俺のダチのせいで。ご迷惑おかけしてしまって。』
申し訳なさそうに頭を下げる。
「あぁ。別に。あんたのせいじゃねぇし。気にすんなよ。」
『輝条さん。呑みませんか?』
「いや。いい。帰り運転しなきゃいけねぇし。あんた、呑んでいいよ。」
『あっ。俺が運転しますよ。明日も朝早いんで呑みませんし。一杯だけでも。ねっ?』
そんなこんなで、じゃあ。一杯だけ。と、下に降りてソファーへ座った。
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