【右腕の男】

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來希が来て、付き合います。とビールを差し出して来た。 一気に飲み干す。 來希が、すぐ帰って来ますよ。と気を使っているのが分かる。 新人君が、大和は本当は良い奴なんです。とか、色々と心配させない様にしているのも分かる。 でも、俺はあぁ。とだけ答え黙々と呑んだ。 時計ばかりが気になって仕方ない。 今日の朝からこんな調子だ。 仕事しても時間ばかりが気になり仕事どころじゃなかった。 蘭花が帰って来るまでの時間がやけに長く感じて。 夕方、蘭花の顔が見れてホッとした。 それなのに、また待たねぇといけねぇとか。 はっきり言って、キツい。 仕方ねぇと分かっていても、それでも待つ時間は長すぎて。 たった何時間の事かもしれねぇけど。 何度となく不本意で蘭花と離れた経験が俺にはあるから。 だから、こう言う待ち方は精神的にキツい。 黙々と呑む俺に來希も新人君も何も言わなくなった。 どの位、呑んだのか分からねぇ。 いつもは酔う事も滅多に無いのに、夕べ寝れなかったせいもあるのか記憶がとんだ。 気付けば蘭花の部屋。 隣には蘭花が眠ってた。 どうやって帰ってきたのか。 蘭花がいつ帰ってきたのかさえ覚えていない。 …マジで有り得ん。情けねぇな。俺。 蘭花が絡むと、こうも自分らしからぬ事をするもんかと思ってしまう。
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