【右腕の男】

24/33
前へ
/238ページ
次へ
口いっぱいにおやつを入れて頬っぺたを両方膨らまして。 「蘭花。リスみたいになってるぞ。可愛いな。蘭花は。髪も綺麗だしモテる様になるな。」 頭を撫でて言ってやると、ゆっくり噛んで食べるんだよな。 前に慌てて食べ過ぎて喉に詰まらせた事があって。 それからは食べてる時に頭を撫でて話かけると、安心するのかゆっくり食べるんだ。 翔が早く食えとか言うからな。 俺がいつも待っててやればいいだけなんだ。 それで蘭花が安心してくれるから。 庭で遊んでる時に詩音さんがよく写真撮ってくれた。 『皆~!こっちに並んでぇ。』 遊んでる途中で呼ばれるから、写真に写る翔はいつも不貞腐れてて。 俺の隣では蘭花が満面の笑みで写真を撮られるのを待ってる。 それがおかしくて蘭花に視線を向けて写ってるのが俺で。 ……懐かしいな。 あの頃に戻りてぇ。
/238ページ

最初のコメントを投稿しよう!

515人が本棚に入れています
本棚に追加