【右腕の男】

25/33
前へ
/238ページ
次へ
俺らが小学4、5年生の頃は、さすがに遊びも違ってきたな。 まぁ。俺と翔と蓮兜が3人集まれば、よく絡まれてたな。 中学生に。 だから、外に遊びに行けば喧嘩ばっかで。 そんな感じだったから、あんまり蘭花を連れて遊びには行けなくなった。 遊んでやる時はほとんど庭で鬼ごっことかしてやったな。 翔が鬼になると蘭花は怖いらしく、本気で泣きわめいて逃げてたな。 それ見て笑ってたけど。 泣きながら俺の所に逃げて来るし。 で、結局俺が翔に捕まってたな。 それなのに、俺が鬼になったらサッと離れて逃げてくんだよな。あいつ。 で、俺が翔を捕まえるとまたギャーギャー泣いて逃げて俺んとこ来て。 その繰り返しだったな。 蓮兜と瑠璃さんは途中で呆れて、いつの間にか縁側に二人で座って茶飲んでるし。 俺と翔だけがすげぇ息きらして疲れてんの。 二人でハァハァ立ち止まってたら、いつの間にか蘭花も縁側で瑠璃さんと蓮兜と茶飲んでるし。 馬鹿みたいな俺と翔。 で、鬼ごっこ終了。 今思えば、蘭花って狡い奴。 言ってやればよかった。 そんな日もあったんだよなぁ。俺ら。 何か忘れてたな。 そういうの。 離れて初めて思うよな。 こういう昔の事って。 写真も飾ってあんのにな。 何で蘭花と一緒の時に思い出さなかったかな。 いつも目の前に蘭花が居たからだろうな。 思えば思う程、キツいな。 あー。心臓いてぇ。 苦しいな。蘭花の事考えると。
/238ページ

最初のコメントを投稿しよう!

515人が本棚に入れています
本棚に追加