【右腕の男】

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俺の髪を見て、爺ちゃんも婆ちゃんもすげぇ驚いてたけど何も言わなかった。 俺が蘭花を可愛がってたのをよく知っていたから。 俺は親父にも電話をかけて、怒鳴りつけた。 『俺は一人でもこっちに残る!絶対アメリカなんか行かねぇ!』 「竜。お前の気持ちも分かる。だがな。お前、一人で何が出来るんだ?小学校卒業したばかりのお前を雇ってくれる所なんてあるのか?一人で残るって事はそう言う事だろ。そっちの家ももう処分するんだ。お前、何処に住むつもりだ。お前の考えが通る程、世の中甘くないんだよ。分かるか?とにかく、春休みの間にこっちに来るようにしとけ。分かったな。」 何も言えなかった。 親父の言う通りだから。 小学校卒業したばかりのガキが一人で出来る事なんて何も無い。 食ってける訳でもなければ、住む所を探すなんて事も出来ない。 それでも、蘭花の側に居たくて親父に頼み込んだりもした。 『お願いします。日本に残らせて下さい。』 誠意を見せればいいかもしれないとか単純な考え。 「無理だと言ってるだろ。お前達をこっちに呼ぶ為に、俺も母さんも今まで苦労して来たんだぞ。爺さん達ともそう言う約束してたんだ。だから、頼み込んでお前を預かってもらったんだ。誰が好きで一人息子を手離すんだ。よく考えてみろ。ずっと頑張ってきた母さんの気持ちも分かってやれよ。もう中学生になるんだ。」 何度も何度も頼んだが無駄だった。
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