【右腕の男】

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家に入りソファーへと座る。 「……最悪だな…俺…。」 立ち上がり冷蔵庫からビールを取り出し一気に飲み干した。 冷蔵庫をまた開け中に入っている酒を全て出した。 ソファーの前のテーブルに全て置き次々と飲み干す。 その間も考えるのは蘭花の事ばっかりで。 『嫌い!』その言葉が頭をグルグルと回る。 俺は蘭花に笑顔でいてほしいのに。 俺が笑顔でいてくれって言ったのに。 他の誰にも蘭花の笑顔を取られたくなかった。 蘭花の笑顔は俺だけのものだと思いたい。 そんなの無理に決まってる。 分かってる。 それでも、そう思うのは俺の独占欲。 仕方ないと分かっていても、あいつが笑った時の周りの反応にイラつく。 知っている人達ならまだいい。 だけど、初めて蘭花の笑顔を見た奴らの反応の仕方は凄いから。 男なら尚更。 女ですら反応する蘭花の笑顔。 あまり誰にでも笑ってほしくなかった。 蘭花に言っても 《私は私だから。》 そう言われると何も言えなくなる。 ありのままの蘭花でいい。と言ったのは俺だから。 あいつが辛い思いを乗り越えたのに、それを俺の我が儘で笑うななんて言えるはずもない。 ………全然、酔えねぇし。 全て呑んでも酔えない。
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