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「…アメリカ?…いつ…いつ行くんだ!?そんな話聞いてねぇぞ!」
翔は俺の胸ぐらを掴み上げた。
起き上がり座った俺は全部を話し、説明した。
『…俺は何の力もねぇから。…一人でも残りたい。蘭花を守りたい。でも、それすら今の俺には出来ない。……悔しいけど…出来ねぇんだ。だから、頼む。蘭花が泣かない様に。ずっと笑顔で居られる様にお前達で守ってやってくれねぇか。…頼む。俺、絶対帰ってくるから。それまで。それまで蘭花の笑顔を守ってくれ。』
二人に向かって俺は土下座をした。
組長が俺らによく言ってた。
男が頭を下げるのは人生をかけて頼み込まなきゃいけねぇ時だけだ。って。
だから、俺の人生をかけて二人に頭を下げたんだ。
二人はしばらく黙っていたが、俺の肩に手をやり言った。
「……頭、上げろ。…分かった。蘭花の事は心配すんな。俺達が守るから。なぁ。蓮兜。」
翔も蓮兜もニッと俺に笑った。
道場から出て翔の家に行くと、蘭花がつまんなそうにソファーで足をブラブラさせてた。
『……蘭花。』
俺の言葉にバッと振り向きこっちを見た蘭花。
「竜兄ー!!遊んで!」
走って飛び付いてくる蘭花を抱き上げた。
『…蘭花。ずっと笑ってろよ。なっ?蘭花の笑顔は俺、大好きだから。』
俺がそう言うと蘭花はすげぇ笑顔で俺に笑いかけて
「うん!私も竜兄大好き!!」
って、ギュッて俺に抱きつくんだ。
離れたくなくて…悔しくて仕方なかった。
『蘭花。元気で居ろよ。』
蘭花を抱きしめながらポツリと呟く。
「何?竜兄。」
俺の顔を見て首を傾げながら聞く蘭花が堪らなく愛しく感じた。
その時には既に蘭花に惚れてたんだよな。
蘭花の笑顔に。
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