全国暴走族総取締役!!蘭花！番外編

【右腕の男】

蘭花と会えなくなってどの位だろう。

きっとまだ数日しか経っていないばずなのに、俺にはずっと長い間会っていない様な気がする。

週末の一人で過ごす時間は特に長く感じてしまう。

今までずっと一緒だったから、何をしていいのかすら分からない。

蘭花は今何をしているんだろう。
蘭花はちゃんと笑っているんだろうか。
ちゃんと飯食ってるかな。

ずっとずっと蘭花の事が頭から離れなくて。

これじゃいけないと自分でも分かっているはずなのに……。

蘭花は何処に行くんだろう。
学校はどうするんだろう。

きっと翔にでも聞けば分かる事なんだ。

だけど俺にそれを知る権利はない。

蘭花と俺は、総取締役と右腕でしかないから。

だけど、それすら蘭花に否定された気がした。

半年間、俺に会わない様にしてると思えてならない。

その半年間で俺にけじめをつけようとしているとしか思えないんだ。

話をする事すら拒む蘭花。

前に離れた時もそうだったから。

街で見かけて思わず声をかけた俺を蘭花は全力で拒んだ。

俺を忘れようとしていたから。

留守にするって事は今度は偶然会う事も無いって事。

半年間、俺と完全に接触を断つ事で俺を忘れようとしているんだ。

……俺を。

蘭花の中に居る俺は半年後には居なくなるんだ。

……俺は？

俺は半年後に蘭花を忘れられているんだろうか。

蘭花に会っても平気で居られる様になっているんだろうか。

自分の言葉がこんなにも自分自身を苦しめるなんて思わなかった。

……でも、あの場合。
ああ言うしか無かったんだ。

あの時、蘭花を抱きしめ無理矢理にでも離さない方が良かったのか？

離れたいと言っていた蘭花に嫌だと、ずっと辛い思いをさせてた方が良かったのか？

……俺には無理だ。

俺が自分のせいで潰れそうな蘭花の姿を見て胸が張り裂けそうに苦しかった事を蘭花にさせる訳にはいかないから。
あんな思いを蘭花にしてほしく無かったんだ。

だから別れを告げた。

でも、ここまで苦しむ事になるなんて…。