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『…竜兄!大丈夫?!竜兄!』
酔い潰れ寝てしまった俺を揺さぶる。
『……竜兄。…ゴメン……私…。』
「……蘭花?……蘭花!!」
思わず強く抱き締めた。
まさか蘭花が来てくれるなんて思ってもいなかったから。
蘭花は俺に謝ってきた。
俺が悪いのに…。
俺も蘭花に謝った。
俺が悪いと。俺の嫉妬や独占欲が蘭花に辛い思いをさせてしまったと。
蘭花は俺が笑えと言えば今まで通りだと言った。
それが嫌なら笑わないと。
それは駄目だ!
俺は必死に蘭花に言った。
ずっと笑顔で居てくれ。
それなのに蘭花は、俺が我慢するのは俺に辛い思いをさせるのは嫌だと言う。
……じゃあ、どうすればいい?
俺は蘭花の笑顔が見たい。
また嫉妬してしまうけど、それでも蘭花が笑顔でいてくれるなら俺は何だって我慢する。
でも、蘭花は俺が我慢するのは嫌だと。
「…じゃあ俺はどうすればいい?…考えても分からないんだ…。俺は…どうすれば…。」
謝って終わると思っていた。
でも、違っていた。何かが違っていた。
項垂れる俺の頭を両手でそっと上に向ける蘭花。
そのまま蘭花の柔らかい唇が俺の唇に重なった。
……蘭花。
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