【右腕の男】

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暫く黙って蘭花の話を聞いた。 蘭花の言ってる事も分からなくは無い。 だけど、離れなくてもお互い直していけばどうにかなるだろ。 「…離れるって、どの位?」 どの位をもって離れると蘭花は言っているんだろう。 1週間?それとも1ヶ月? それでも会えないと思う事が俺にはキツイ。 あの時みたいな思いはしたくない。 蘭花の答え。 『…分からない。…お互い、嫉妬や独占欲に支配されなくなるまで。』 ……あり得ないだろ! カッと頭に血が登った。 そして、また怒鳴ってしまった。 前に会えない時は事件が解決するまでと言うのが頭にあったから、何とか耐えられた。 それでも、あの時何度挫けそうになったか。 携帯を握りしめ何度蘭花の声がききたかったか知れない。 それなのに……。 怒鳴ってしまった事は謝った。 だけど、納得はしない。 離れる意味さえ分からないから。 お互い好き同士ならそれでいいだろ。 俺がもう少しちゃんとしさえすればいいだけの話じゃないのか? でも、蘭花は謝るだけで。 「…謝るな!…悪い。…今日は帰ってくれないか…。」 ダメだ…。 今は蘭花と居たらあたってしまう。 頭痛とイライラで考えも纏まらない。 送ってやりたいけど、今の俺には無理だろう。 蘭花が出て行った部屋で独り頭を抱え込んだ。
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