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……蓮兜。
蓮兜からの着信。
かけ直すかどうか迷っていたら、ちょうど蓮兜からかかってきた。
「……もしもし。」
《あっ!竜!良かった。やっと出た。》
…何だ?
少し慌てた様な蓮兜。
「おぉ。どうしたんだ?」
《蘭花ちゃんが。》
!!蘭花?!どうかしたのか?
「蘭花がどうかしたのか?!」
思わず声を張り上げた。
《蘭花ちゃんが、高熱で倒れた。朝方、帰ってきたみたいなんだけど夜まで起きなくて。ご飯も食べてないから翔が起こしたら、そのまま倒れて。この寒い中、歩いて帰ってきたんじゃないかって。矢部さんが言ってた。竜。蘭花ちゃんが帰ったの気付かなかったの?とにかく、早く蘭花ちゃんに会ってやって。今、寝てるけど竜が居たら安心すると思うから。》
……歩いて帰った…この寒い中を…。
俺のせいだよな…。
送ってやれば…。
……そうだよな。
始発の電車も…まだ無かっただろうしな…。
……何やってんだ。俺。
夕べもこの寒い中、ずっとリビングにいたんだしな……。
……それなのに…あの態度。
マジで最低な男だな。俺。
……そんな男がのこのこと会えるはずねぇよな。
「……悪い。蓮兜。今は会えねぇ。蘭花とは会いたくないんだ。蘭花の事、頼むな。じゃあ。」
電話を一方的にきり、ソファーに投げた。
「……すげぇ。俺って最低なヤツ…。」
……今更、どんな面して蘭花に会えるんだ?
離れたくないとか好きだとか言っておいて。
好きな女を真冬に独りで帰すとか……。
……大丈夫かな。蘭花。
「…会いてぇ。」
ソファーに凭れ頭を上に上げた。
……男なのに…泣いてんじゃねぇよ。
片腕を目に当て涙をこらえた。
……どうすっかな。これから。
とりあえず、もう一度ちゃんと話しねぇとな。
俺が我慢するとかじゃなくて、蘭花を理解すればいいんだよな。
蘭花に惚れるやつがいても、蘭花の気持ちは俺にあるんだって思えば嫉妬や独占欲もそんなに無くなるかな。
ちゃんと蘭花に伝えないとな。
しばらくは体調も悪いだろうし、週末にでも会いに行くかな。
よしっ!それまでは、蘭花に見捨てられない様に頑張らないとな!
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