決断

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「桜から全て聞いた。やはりあの女は桜と結婚する気はなかったようだな?」 そう言った父さんの背後の窓がうっすら開いていて、大量の雨が目に映る。 ……今日は荒れた天気だ。 遠くの方で野良猫の鳴き声まで聞こえてきた。 「お前は、もうあの女と会っていないのだろうな?」 「……はい」 まさか兄貴が父さんに話すとは思わなかった。 どこまで話してしまったのかは、分からない。 だからオレは頷く事しか出来なかった。 「それならいいが、」 そう続けた父さんは、やっぱりこっちを見ようともしない。 でもこの父さんとは正反対の母さんは、昔からとても優しい人だった。
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