決断

12/14
前へ
/32ページ
次へ
オレはそんな父さんでも……たった一人の父さんだと思っていました。 「クドイ! ワタシの息子は桜だけだ!! お前は金で買った人形なのだっ!!! あの女には二度と会うんじゃないぞ! いいな、これはワタシからの命令だ!!」 父さんにそう言われた瞬間…… 今まで我慢してきた思いが溢れそうになった。 オレはこの人に、何を期待していたんだろう…… 家族というものを、この人に求めていた。 でもそれは、叶わぬ夢だと思い知らされた。 「失礼しました……」 そのままオレは、書斎を後にした。 この時、心臓に爆弾でも埋め込まれた気分だった。 絶望感という言葉があるのなら、今まさにその言葉がピッタリかもしれない。 ……もう、オレには何もない。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

450人が本棚に入れています
本棚に追加