決断

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―――… オレが書斎から部屋に戻ると、すぐに母さんがやって来た。 「月、大丈夫?」 「母さん……」 「これ、」 母さんが悲しそうな顔をして、あるものをオレに手渡してきた。 それはオレの名前が書かれた通帳と、そして印鑑だった。 「それはあなたのお金よ。今までお父さんに内緒で貯金してきたの!」 母さんはベッドに腰を下ろしながら、オレの手を握ってきた。 「いつかね、月がお父さんに傷つけられる日がやって来ると思っていたわ! でもね、お父さんを恨まないでやってほしいの……お父さんだって辛いのよ。あなたを受け入れたいけど、桜の手前、そうもいかないでしょう?」 「……母さん」
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