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そう言った母さんの瞳からは、大量の涙が頬を伝っていた。
手を伸ばして、拭ってあげたかった。
オレのために涙を流してくれている人がいる。
……それだけでいい。
それだけで、もうちょっと頑張れる気がするよ。
「月、あなたの思うように生きなさい。月の人生なんだから、母さんは応援するわよ! お父さんが何て言ったかは知らないけど、母さんにとっては桜もあなたも大切な息子よ! かけがえのない息子なのよ。もう病院の事は気にしなくていいから……」
「母さん……ありがとう」
そのまま母さんは、泣き笑いみたいな笑顔で部屋を出て行った。
……母さん、オレって親不孝ものなのかな?
でも、もう疲れたよ……
このまま……全てを捨てていいのかな?
ごめんね……
いい息子じゃなくて、本当にごめん……!!
オレは部屋にある荷物を少しだけボストンバッグに詰め込み、携帯と母さんに貰った通帳に印鑑。
そして財布を手にすると、家を飛び出したのだった――。
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