心の鍵

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マンションに帰るともう三時を過ぎていた。 冷蔵庫に食材を仕舞い、洗濯物を入れる。 洗濯物はふんわり気持ち良く乾いていた。 洗濯物を畳みながら、ふと思う。 部長…シャツとかのアイロンってどうしてるんだろう? 自分でしてるのかな? いつも皺のない綺麗なシャツを着ているけれど。 私はこそこそとアイロンとアイロン台を探す。 だけど、見えるところには置いていないようで、見つからなかった。 クローゼットを開けることは出来なくて、仕方なく諦めることにした。 未練がましく部長のシャツを手に取る。 何気なくシャツに顔を押し当てる。 洗剤のいい匂いの向こうに部長の匂いが残ってる気がする。 …秀一さん…。 私は皺(シワ)にならない程度にシャツを抱きしめた。 すると、突然声がした。 「…何やってるんだ?」
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