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半透明の戦闘服の生徒が散らばっていく。小柄な少年がひとり、タツオの前にやってきた。頬が赤い。まだ中学生のようだ。直立不動で少年は敬礼した。この生徒の名前は確か、五十嵐高紀(いがらしたかのり)、学年順位は34番、得意な科目は数学と外国語だったはずだ。運動能力はDだ。生徒はすべて基礎体力を数値化され、5段階評価されている。タツオは自分の部下になった3組全員の学力と体力の記憶に勤めていた。誰が戦闘のどんな局面で使えるか、把握(はあく)しておかなければならない。
「逆島(さかしま)司令、お時間よろしいでしょうか」
「敬礼を解いてくれ、五十嵐くん。すこしならかまわない」
五十嵐少年は右手を下げたが、直立不動のままだった。
「わたくしの父は逆島靖雄(やすお)中将の指揮下でクンコウ上陸作戦を闘いました」
クンコウは氾(はん)帝国南部の軍港だ。あの作戦は日乃元(ひのもと)の進駐軍が見事な勝利を収めている。
「そうだったのか。お父上は元気か」
五十嵐は胸を張っていう。
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