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「おまえ、いいやつだな。なんならテルをはずすから、おまえが1班に入れよ。おれの弟分にしてやるからさ」
テルが太い脚でクニの尻を蹴りあげた。見事な回し蹴(げ)りだ。クニが尻を抱えて跳(と)びあがった。
「冗談だろうが、この馬鹿力」
タツオな笑いながら、友人のおふざけを眺め考えていた。五十嵐はジョージとカザンの突撃隊には選ばれていない。足が遅く、持久力に欠けるのだ。
「五十嵐くんは本陣に残って、ぼくの身を守ってくれ。敵も必死で狙ってくるからね」
狙撃手の一撃が司令官を倒せば、それで敗北だった。五十嵐は目を輝かせていった。
「わかりました。全力で司令をお守りします」
最敬礼をすると小柄(こがら)な少年は自分の班に戻っていった。
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