480人が本棚に入れています
本棚に追加
お父さんが病気で、私に会いたいって言ってたって、すぐに田舎へ戻る事が出来なかった。
親の死に目に会えなかった。
私は本当に親不孝者だ。
だからいつかは田舎で結婚して、たった一人のお母さんの元で暮らそうと思っていた。
けどお母さんは、卒業まで後少しなのに……いきなり帰ってきた娘を変に思うかな?
それも若い男の子を連れて行ったら、腰を抜かしてしまうかもしれない。
だから、不安じゃないといえば嘘になる。
でも月をほっとけなかった。
あのまま月を追い返す事なんか、私には出来なかった。
そしてやっぱり、桜さんとの結婚は考えられなかった。
「ねぇどれぐらいで着くの?」
まだ窓に視線を向けたままの月が、突如そう言ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!