駆け落ち

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お父さんが病気で、私に会いたいって言ってたって、すぐに田舎へ戻る事が出来なかった。 親の死に目に会えなかった。 私は本当に親不孝者だ。 だからいつかは田舎で結婚して、たった一人のお母さんの元で暮らそうと思っていた。 けどお母さんは、卒業まで後少しなのに……いきなり帰ってきた娘を変に思うかな? それも若い男の子を連れて行ったら、腰を抜かしてしまうかもしれない。 だから、不安じゃないといえば嘘になる。 でも月をほっとけなかった。 あのまま月を追い返す事なんか、私には出来なかった。 そしてやっぱり、桜さんとの結婚は考えられなかった。 「ねぇどれぐらいで着くの?」 まだ窓に視線を向けたままの月が、突如そう言ってきた。
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