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高知の空は、昨夜の嵐のような雨が嘘みたいに晴れ渡っていた。
太陽が照りつけ、身体中が暑さを訴えかけてくる。
眩しい光が、頭上から降り注いできていた。
……頭が暑い。
よく雨が降った後は暑いと聞くけど、蒸せ返るような暑さだ。
「オレ、高知って初めて来たから、何かワクワクします」
「でも高知って、すごく田舎でしょう?」
「ううん……もっと田舎を想像してたから、思ってたよりも都会ですよ」
「言ったわねぇ! 実家の近くに行ったら、もっと驚くから覚悟しときなさいよ?」
と私達は談笑しながら、肩を並べて駅へ向かった。
でも彼は小首を傾げている。
「ねぇ電車に乗るの?」
「そーよ! ちなみに高知県では電車の事を “汽車” って言うのよ!」
と得意げに言った私は、自分と彼の分の切符を買った。
月は汽車という言葉をあまり耳にした事がないのか、まだ不思議な顔をしている。
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