駆け落ち

18/35
前へ
/35ページ
次へ
「ねぇねぇ汽車って、電車の上に煙が出ていて、シュッポーとか言ってるヤツですか?」 「あはは、そーね。そうかもしれないわね!」 東京の人はこういう反応をするのだろうか。 私は彼の表現が可笑しくて、ついつい噴出してしまった。 「ねぇねぇ高知駅からどれぐらいかかるの?」 「そうね。約1時間ってとこかしら?」 「へぇ、1時間も電車に揺られるの?」 「そうよ。少し遠いわね……」 私が申し訳なさそうにそう言ったら、彼は首を左右に振った。 そして私の手に自分の手を重ねてきた。 「ううん、優陽と一緒なら遠くないよ!」 何気ない彼の優しさがこんなにも嬉しい。 私だって、あなたと同じ気持ちだもの。 あなたと一緒なら、例え一日かかる所でも、一週間かかる所でも、一ヶ月かかる所でも、遠いなんて感じないと思う。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

480人が本棚に入れています
本棚に追加