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「あら優陽? ……優陽なが?」
私の声を聞きつけたお母さんが、スリッパの音をパタパタと鳴らしながら玄関までやって来た。
いつも身につけていた汚れたエプロンを、未だに着用している。
その瞬間、月が私の背後に隠れた。
……全く、可愛いというか何というか。
人見知りでもしているのかしら?
「お母さん、ただいま!」
私はお母さんに視線を移してそう言うと、月に視線を戻した。
お母さんが、“誰?” って、言うような目を向けてくる。
「えーと、紹介するわね。花柳月君……一応、私の恋人かな?」
「一応って何ですか! 一応じゃないじゃん……」
私の紹介の言葉に納得がいかないのか、月が少し膨れている。
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