駆け落ち

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一緒にお風呂に入った訳でもないのに、顔が赤面している。 ……ドキドキと心臓が五月蝿いぐらいに鳴っている。 もう少しで、目のやり場に困るところだった。 そして私がキッチンに戻ると、お母さんが菜箸片手に夕食の準備を始めていた。 「お母さん、いい匂いね? 夕食のメニューは何なの?」 「えーと。ピーマンの肉詰めと、キュウリ揉みと、お味噌汁やろ? それと優陽の好きなすまきとてんぷらも買ってきちゅうで!」 「本当? もうね、高知のてんぷら食べたかったのよね! 向こうと全然違うんだもの!」 その言葉に私は目を輝かせると、冷蔵庫からてんぷらを取り出してつまみ食いをした。 てんぷらとは東京ではさつま揚げの事だけど、私はこの高知のてんぷらが大好きなのだ。 ……本当に美味しい。 ちなみにすまきとは、かまぼこの親戚のようなもの。 説明するのが難しい。
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