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でもね……
本当はこのままじゃいけないという事は分かっている。
彼の学校の事だってあるし。
月は家に帰りたいとかは思わないのかな?
……それが少し不安なのだ。
――…
そして私がお風呂から出ると、月は昔の私の部屋で何かを探しているところだった。
そんな月が着ているのは、お父さんのパジャマだ。
「月? 何を探しているの?」
私は背後から彼に、そう声をかけた。
月は本棚の前で首だけをこちらに向けると、ニコニコしながら口を開いた。
どうやら機嫌は直ったみたいだ。
「あのね、優陽の昔の卒業アルバムを見たくて……ねぇどこにあるんです?」
「そんなもの探してどうするのよ!」
「見たいんだよ! あるんでしょう? 見せてよ……」
「嫌よっ!」
私は顔を赤くして、キッパリとそう断った。
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