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「この部屋で、普通の幸せもいいかもしれないな、」
桜さんがバルコニーに出て、見える絶景を眺めながらそう呟く。
「桜さん、濡れますよ?」
そんな桜さんに声をかける。
「なぁ優陽、お前は荷物をまとめて明日にでもココに越して来い。それと大学に行く以外は、この家から一歩も出るな! 分かったな?」
桜さんはそう言うと、すでに契約する気なのかこの部屋の鍵を渡してきた。
「……桜さん、夕飯の買い物とかはどうするんですか?」
「俺は妻に料理をしてもらおうとは思っていない。それにお前は俺を裏切った! はっきりいってまだ信用してないんだよ!」
とそのまま桜さんは、部屋の中へ戻っていく。
……瞳すら合わせてはもらえない。
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