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私は桜さんにそう思われても仕方がないと思った。
だってこうやって桜さんの傍に居ても、やっぱり考えるのは彼の事だけなのだから。
今だって会いたくて仕方ない。
でも、会いに行く事は出来ない。
……大好きよ。
私はあなたが大好きよ。
心はいつもあなただけを想っている。
だから……もう泣かないで。
―――…
それから私達は、マンションを後にした。
雨は行きより帰りの方が強くなっていた。
車のワイパーが左右に動いて、雨跡を拭いていく。
その左右に動くワイパーを呆然と見つめていた。
走行中、桜さんにずっと手を握られていた。
その手が気になって、物事を考える機能を失いそうになる。
……手を握られる事さえ、不快に思ってしまった。
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