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「優陽、このまま何処かに行こうか? って言いたいところだけど、今日はまだ仕事が残っているんだ。だから一度、会社に戻るよ! お前は荷物だけまとめとけ? 明日の早朝に迎えに来るから、分かったな?」
「……分かりました」
桜さんのその言葉に、軽く頷いた。
もう、抵抗する気も逃げる気も何もなかった。
……ただ、絶望感でいっぱいだったのだ。
“どうにでもなれ” この時の私は、きっとそんな感じだったのだろう……。
――…
数分後、車は私のアパートに着いた。
「じゃあ桜さん。送ってくれてありがとうございます」
私は桜さんに、とりあえずお礼を言った。
大人になると、社交辞令という言葉をよく使うようになった。
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