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ビリっ
彼女は…
彼女は、バッグから大事そうに取り出した手紙を自分の手で2つに破ったのだった。
「ちょっと友梨子何やってるの!!」
みどりが驚いて声を上げると、友梨子はみどりの方を向いてちょっとイタズラに笑った。
そして、真剣な表情に戻り俺の方をしっかりと見つめて
あの子はこう言ったんだ。
「笹塚さん。
私は…私は笹塚さんのことが本当に大好きです。
テレビや雑誌の中のあなたしか知ることが出来ないのだけれど、
それでも、笹塚さんの真面目な所、何に対しても頑張っていている所とか…面白くって…笹塚さんの笑顔は本当に沢山の人を笑顔にしてくれて…素敵な友達も沢山いて好かれていて…
私の知っているあなたはほんの一部かもしれないし、もしかしたら作られた顔なのかもしれない
だけど好きになってしまったんです」
一息ついて「ふふふっ」と恥ずかし気に笑うと、彼女は吹っ切れたようにさらさらと、だけど感情を込めて話し出した。
「ごめんなさい、こんな事言って
でも今は無理でも、絶対に叶えてみせます。
あなたに見あう素敵な女性になってみせます。
そのために頑張ってるんです。
今私は大学生です。
必ず2年後に。
いち社会人としてあなたの前に立ってみせますから、
そしたらこの手紙、受け取ってもらえますか…?」
最後だけ少し不安そうな彼女。
俺は彼女から目をはなせなくなっていた。
少し間をおいて俺は小さく頷き
「いいよ
楽しみにしてる」
と、なんとかそう告げた。
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