第1話

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*** 「音羽さん 今年もライブ来ていただいてありがとうございました!」 挨拶まわり。 俊は、番組を通して仲良くなった人気アナウンサーの音羽さんの所に来ていた。 若いし、かっこいい、頭も切れるし本当にすごい人だ。 「お忙しい中、いつも本当にありがとうございます」 音羽さんは、いやいや、と言って 「素晴らしいものを毎回見せていただいてこちらこそ嬉しいですよ 今日も3時間があっという間でした」 と続けた。 音羽さんの隣には高校生くらいの女の子が2人。チラッとそっちを向くと2人は目を見開きこっちを凝視して、片方の子はは真っ赤に染まった。 ふっ、面白い。 キャーキャー騒がれることも、仕事で会う人に馴れ馴れしくボディタッチされるのも慣れがあるけど、 こんな初々しい反応はかわいいなと思った。 「娘のみどりと、友達の友梨子ちゃん。 娘たちが大のAceファンで 、本当に喜んでるんです」 音羽さんがそう説明してくれる。 「はじめまして、みどりちゃん友梨子ちゃん」 にっこり笑って話しかけると2人はアワアワして赤い顔を更に紅潮させて。 「み、み、み、みどりです。 Aceさんのライブ、本当に、凄く良かったです、もう本当に本当にありがとうございました」 「娘は静宮くんのファンなんですけどね」 小さくそういった父親にみどりちゃんは少し焦って 「お父さん!!」 と小声で怒っていた。 「友梨子もほら早く喋って」 みどりちゃんは急かすようにもう一人の子の背中を押してニヤリと笑い、耳に顔を寄せた。 (「手紙、渡さないの?」) そんな風に聞こえたと思う。 彼女は決心したようにスクっとこちらを向いた。 手紙手渡しってNGなんだけどな… 一瞬そう思ったのだが。 俺は、いやそこにいた3人は 彼女の驚くべき行動に目を見張った。
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